リハビリでの運動学習における4つの段階

リハビリにおいて「動作自立」は、LTG(Long term goal)に上がる重要な指標です。

一人で歩ける、一人でトイレに行ける、一人で食事がとれる。

 

この目標に向かって日々リハビリを行うわけですが、

その動作の獲得には4つの段階があるのをご存知でしょうか?

(一部介助とかそういうのではなく「質」の部分です。)

 

皆さんが今行っているアプローチは、どの段階に向けた内容でしょうか?

 

4つの段階とは?

例えば、目標を「食事における安定した座位姿勢」で考えてみましょう。

この患者さんは、食事は何とか一人でも摂ることが出来るが、座位が安定していないという問題を持っています。

 

「無意識・無能」

この段階は、食事の際の安定した座位姿勢を忘れてしまっている状態、かつ出来ない状態です。

姿勢が前傾姿勢になってしまい、それが当たり前になっていたり、麻痺がある方に崩れたままで食事を摂ろうとしているような状態。

 

確かに食事は摂れます。

しかし、その座位姿勢は機能的ではありませんし、こぼす、時間が掛かる、誤嚥などのリスクを持っているでしょう。

「安定した座位」という認識を忘れてしまっているのです。

本人の中では問題に上がっていない「ただ出来る」という状態です。

 

セラピストは、先ず「安定した座位がどういうものか」をお伝えする必要があるでしょう。

クッションをあてる、介助をするなどして、良い姿勢で食べることのメリットをお伝えしなければなりません。

 

「有意識・無能」

安定した姿勢について、知識はある状態。

その姿勢はとれないけど、目標として知っている状態です。

 

麻痺の影響や、体幹の機能的な問題により安定した座位姿勢は出来ません。

この状態でも食事を摂ることは出来ますが、「上手く食べることが出来ない」という認識があるため、ご本人も解決したいと考えているはずです。

 

ここの段階では、足りない機能に焦点を当てて介入する必要があります。

体幹の不安定性、麻痺側への崩れを「意識して」コントロールしていく方法を、リハビリの中で学んでいかなければなりません。

特にこの段階は、徒手的な介入が必要になってくるのは分かるでしょう。

 

「有意識・有能」

この状態は、意識すれば出来るという状態です。

この段階にいけるように日々アプローチをしたり、口頭での指示を伝えているはずです。

 

つまり「背筋を伸ばしてください」「こちらに体重を乗せましょう」「ここの力は抜いてください」など、指示することによって患者さんに意識してもらっている状態です。

張り紙をするなども1つの方法でしょう。

 

患者さんも意識すれば出来る状態、つまりセラピストの声掛けや、気づける仕掛けがあれば出来るので、そういう意味では「まだまだサポートが必要な状態」と言えます。

 

「無意識・有能」

最終段階、意識せずとも出来る状態です。

ここまでくると本当に成果が出ていると実感できるでしょう。

 

また、患者さんも4つの段階を踏んできたことで、出来るようになったと実感し、尚且つそれはすでに無意識になっています。

ご自身の感覚を頼りに、姿勢を正し、こぼすことや誤嚥のリスクを回避することが出来るのです。

 

ただ、リハビリの目標がここまで高くなくても良いのかもしれません。

多くの患者さんが、疾病による何らかの障害を抱えている状況で、無意識で行うことは相当高い目標です。

 

ご家族の方のフォローを頂いたり、気をつけるべきリストを作ってお渡しする。

例えば、お薬を飲み忘れないように、1週間分の薬を入れる容器を使っていただくのはこのためですよね。

そんな工夫が必要でしょう。

 

目標をどこに置いているかで、アプローチが変わるのはお分かりいただけたでしょうか?

 

運動学習における段階

「無意識・無能」の状態であれば、先ず知識が必要になってきます。

「有意識・無能」であれば、その能力を高めるための徒手的な介入や、動作練習の反復が必要です。

「有意識・有能」では、気づける仕掛けや、環境セッティングです。

「無意識・有能」では、繰り返していく中での、長期記憶への定着が必要です。

 

これは運動学習における段階です。

 

野球において「バットを振る」という行為であれば、先ずはバットというものがあるということを知る、そしてそれはボールを打つ道具であるということを知ります(無意識・無能)

そして、振る練習をするわけですが、最初はなかなかあたりません(有意識・無能)

指導を受けて、フォーム、ボールを良く見る、引き付ける、踏み込みなどを意識して、上手く当てられたり、時には空振りをして、本をまた読んだりトレーニングを繰り返していく段階です(有意識・有能)

そしていつしか、自分の中に「当たるバッティング」という運動のプランニングが出来るようになり、ヒットを量産出来るようになるわけです(無意識・有能)

 

プロの野球選手は皆さんそうでしょう。

さて、あなたが今アプローチしている患者さん利用者さんの動作練習は、どこの段階ですか?

それに即した声掛け、アプローチ、セッティングが出来ているでしょうか?

 

脳卒中のリハビリについて学びたいという方は、こちらをお勧めします。
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それでは本日はここまでに。

最後まで読んでいただけて感謝致します。

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一般社団法人 国際統合リハビリテーション協会

理事 理学療法士 福留良尚

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福留 良尚

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国際統合リハビリテーション協会常任理事 IAIR九州専任講師 理学療法士 コンディショニングサロン仁愛クリニカルルーム代表 3児の父 
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