近しい人が脳卒中になった時どうしますか?

2018年06月14日 admin_ccra

From.CCRA 福留良尚

 

 

先日知り合いに会った際、「〇〇さんがアポった!」と聞きました。

 

(「アポった」は、医療用語で「Apoplex(アポプレキシー)= 脳卒中」を意味する造語)

 

お世話になった方で、麻痺の程度や日常動作がどの程度なのか気になります。

 

 

 

程度の差はあれ、多くの場合、後遺症が残る脳卒中。

 

私事ですが病院勤務時代、一番力を入れていたのが脳卒中後遺症者に対するアプローチでした。

 

 

 

特にADLの阻害因子となるのが、姿勢コントロールの問題。

 

好発部位を見れば一目瞭然ですが、この姿勢コントロールを担う神経伝達の経路に影響しやすいのが分かります。

 

 

脳卒中のリハビリテーションにおいて

 

  • どの経路に問題があるのか
  • どうすればその経路を発火(神経伝達)させられるのか
  • どうすれば動作やADLに繋げていけるのか

 

これらは非常に重要な視点です。

 

 

この姿勢コントロールが低下することで、患者は体幹が屈曲してしまいます。

 

いわゆる抗重力伸展活動がしにくくなる状態。

 

 

そんな患者に対して現場のセラピストはこんなふうに言います。

 

「背筋を伸ばして、胸を張って歩きましょうね」

 

これが何を意味するか分かるでしょうか?

 

 

 

健常人にとって姿勢コントロールは、無意識下で行われるオートマチックな活動です。

 

誰も立つことを意識してはいません。

 

 

 

これが脳卒中になると、

 

「背筋を伸ばして!」と口頭で指示してしまいます。

 

 

 

意識下でコントロールさせようとしてしまうんです。

 

ここに大きな問題があります。

 

 

 

姿勢コントロールは無意識の中で発火する経路を使います。

 

(厳密には、活動時に先行するといった方が正確かもしれませんが)

 

具体的には、網様体脊髄路や前庭脊髄路といった、腹内側系の経路です。

 

 

「背筋を伸ばす」という意識的な姿勢矯正では、姿勢コントロールに関係する経路は発火しにくいのです。

 

 

では、どうすれば体幹が伸びて、姿勢の安定した活動に繋げることが出来るのか?

 

 

 

大切なのは、

  • 各椎間関節の可動性があること
  • 関節内の感覚受容器から脳への神経伝達がいくこと(フィードバック)

 

 

脳卒中のリハビリテーションは、この神経伝達が相互(脳と末梢)に行き来出来ることが重要です。

 

脊柱からの神経伝達がスムーズに行われるためには、それぞれの椎間関節に緩みがあり、感覚を受容出来る状態でなくてはなりません。

 

それによって脳は体幹の状態を把握し、適切な筋活動の信号を送ることが出来るんです。

 

 

 

体幹が安定して働くその土台には、脊柱の柔軟性や骨盤や各関節の可動性が備わっています。

 

その本来の可動性を引き出さなくてはなりません。

 

 

 

リハビリテーションにおいて重要な考え方

 

「本来持っている機能を出来る限り引き出す」

 

足りない部分を補うリハビリは、体力を必要とし、疾病後の虚弱な患者に無理を強いるようなもの。

 

 

 

収縮しずらい筋を無理矢理働かせるのではなく、先ずは残存する神経筋の連絡をスムーズにしてあげることです。

 

もちろん体力を回復させることは大切ですが、それ以前に「楽に動ける」「痛みがない」などの動作の練習の妨げになるような因子を取り払っていかなければなりません。

 

 

「頑張りましょう!」ではなく、頑張れる状態に整えられてこその「プロ」ではないでしょうか?

 

 

それでは、最後まで読んでいただけて感謝です。

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一般社団法人 国際統合リハビリテーション協会

常任理事 九州地区責任者 理学療法士

CCRA認定インストラクター

福留 良尚

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