「退院後の生活をイメージして動作練習をおこなう」
これは僕たちリハビリ職種にとって、
大切なことだというのは共通認識でしょう。
ではこんなCVA患者さんの場合、
あなたはどんな介入方法を考えますか?
そのCVAの患者さんは、1か月後に退院を控えています。
ブルンストロームステージは、上肢Ⅱ、手指Ⅰ、下肢Ⅳレベル。
杖歩行はSLB装着下で院内自立レベルです。
その患者さんへのリハビリで僕が考えたのは、
「なんとか退院後も、受傷前におこなっていた犬の散歩をしてもらえないかな」
ということ。
本人も退院後も外へでかけたいという希望があります。
そのゴールに向かうにあたって考えたのは、
・フンの処理しないといけないので杖を持つ手にビニール袋を持とう。
・処理ができるようにしゃがめるバランスを身につけてもらおう。
というところ。
では肝心な犬はどうしようか?
僕は犬を飼ったことがありません。
ですので、イメージで、犬のシュミレーション方法を考えます。
ひらめいた方法はこんな感じ。
まず、杖を持つ手にセラバンドを巻きつけます。
セラバンドは犬のひもを想定しています。
そして僕は、「ワンワン!」と言わんばかりに、セラバンドを色んな方向に引っ張ります。
(実際ワンワンとは言ってません。)
それを歩行しながらおこなうという練習方法。
するとその患者さんからは、
「うちの犬、そんなに暴れへんで。」
と、ツッコまれてしまいました。
これは僕が1~2年目に関わった患者さんの話です。
アイデアとしてはなかなかのものだったと今でも思っていますよ(笑)
もし可能であれば
当時の僕へアドバイスしたいことが1点あります。
それは、
「動作練習の前にどんな準備体操(コンディショニング)をおこなうか。」
ということです。
CVA患者さんの身体は、運動麻痺や協同運動などで、
とても動きにくい状況に置かれています。
ただ反復練習をするだけでは、非効率的な動作パターンのために
すぐに疲れてしまいます。
限られたリハビリの時間で、効率的な練習をおこなうためには、
残存機能を引き出す準備体操(コンディショニング)が肝心なのです。
特に姿勢に対するアプローチがおススメです。
姿勢はすべての活動の起点となっていますので。
姿勢に対するアプローチの後の動作練習は、
効率的な動きが引き出せることが著明にうかがえます。
効率的なコンディショニングをおこなっていれば、
昔の僕は、セラバンドをさほど引っ張りまわさなくてもよかったかもしれません。
お読みいただきありがとうございました。
CCRA関西支部担当講師
認定理学療法士(地域理学療法分野)
岡澤 頼宏
PS:効率的なコンディショニングをCCRAではお伝えしています。
ベーシック編神経生理学編は大阪で4月に開催されますよ。
詳しくはこちらから>>>http://iairjapan.jp/ccra/basic/sitting/